テレビドラマ紹介　1990～

NHK

 「天下御免」の後日談のような話。鎖国の時代、

江戸にあった外国人向けのただ一つの宿屋、長

崎屋が舞台。女将かおるは獄死したはずの平賀

源内をひそかにかくまい、彼女と源内の間に生

まれたお蘭や、ひとくせもふたくせもある登場

人物に、次から次に奇想天外な事件が巻き起こ

る。全13回。第10回以外、早坂先生が台本を担

当。 

第１回「ナポレオンで候(そろ)　上の巻」

第２回「　　　　〃　　　　　   中の巻」

第３回「　　　　〃　　　　　   下の巻」

　欧州で敗れたナポレオンが日本に来て亡命申請

　するというハチャメチャな話。ナポレオンさん

　を元気づけてあげるためにということで、アマ

　チュア楽団がにわか練習でベートーベンの「皇

　帝」を本邦初演する場面もほほえましい。歴史

　の事実かと思ってしまった。傑作です。　

第４回「なんで津軽じょんがら   上の巻」

第５回「だから　　　〃　　　   下の巻」

　長崎屋に女将の母で津軽三味線を弾く旅する芸

　人が来たが、その時、アヘンの製造・密売に関

　わる陰謀が進んでいることがわかり‥‥。

第６回「江戸で結婚すれば　　   上の巻」

                 　　　　        ↖　ユーチューブにあり。

第７回「　　　　〃　　　　　   下の巻」

     結婚を巡って３つの話が同時進行。身分の違

い、青い目といったことが障害になってしまう。

いくら早坂先生でもこれをまとめるのは難しか

ったのでは？第６回はユーチューブにあり。

第８回「江戸びっくり大占い」

     小説家・滝沢馬琴が「前世占い」を始めて大評

判に。この回から、平賀源内が隠れ家から逃げて

松尾芭蕉と名を変え「奥の細道」の旅に。

第９回「ようこそ貧乏神」

　滝沢馬琴に貧乏神がとりつく。フランキー堺が

演じる貧乏神が傑作で、笑える。

(第10回「真夜中の決闘」（下川博）)

　武家を出奔し、町人となった遠山金四郎をお蘭

が捜し出す話と、青い目のさむらい辺見鋭之介と

千葉周作の決闘試合。　

第11回「浪花節だよ人生は」

　国定忠治が登場。遠山金四郎と義兄弟の契りを

結ぶ。

第12回「江戸大地震」

　迫り来る大地震に対してどう準備するか。

第13回「オランダは遠かった」　

    お蘭たちは、幕府の命令を受けて、西洋の進ん

だ科学技術などを学ぶため、オランダに向かう。

主演：八千草薫、原田知世、山口崇

「びいどろで候　長崎屋夢日記」（日本放送出版

協会」全３巻に台本収録。

大西博彦

河野和平

ドラマ指定席

スターを夢見る売れない踊り子が沖縄を舞台に

麻薬組織と対決する。

主演：松坂慶子。

各地のNHKや放送ライブラリーで視聴できる。

「ドラマ　1991年４月号」(映人社)に台本収録。

実録犯罪史シリーズ

金(キム)の戦争　ライフル魔殺人事件

原作：本田靖春、監督：小田切政明。

金曜ドラマシアター第１回作品

在日韓国 (朝鮮)人、金嬉老は1968年、２人の暴

力団組員の射殺に続き、人質を取っての籠城監

禁事件を起こし、社会を震撼させる。

現実に起こった事件をもとに日本にある朝鮮人

差別を告発。

主演：ビートたけし。

放送文化基金賞優秀賞、日本民間放送連盟賞優

秀賞、放送批評懇談会ギャラクシー賞奨励賞。

VHSビデオが販売されていた。

ドラマスペシャル。原作：稲垣峰子。

放蕩者の藤原寛美が破産宣告を乗り越え、関西

喜劇王の地位を築くまでを描く。

月曜ドラマスペシャル。

真珠湾攻撃の前年、四国の風早町に女相撲の興行

がやってきた。

「ドラマ　1991年８月号」に台本収録。

第９回ATP賞テレビグランプリ優秀賞。1992年放

送文化基金賞本賞。

太宰治の死は自殺ではなく、彼に愛する女を奪わ

れた男による殺人だった!?

太宰ファンに感想を聞いてみたい作品。

子どもと一緒にまりをついて遊んでいるイメージ

が強い良寛、乞食坊主と言われることもあったが

実は闘っていたのだ！

これは、良寛の晩年に彼と清い交わりを結んだ

貞心尼から見た、その生涯のドラマです。

早坂先生の作品の中でも頂点をきわめる名作。

くわしい内容はこちら。

主演：桂枝雀、樋口可奈子。

放送ライブラリーで視聴できる。

春のドラマスペシャル。

原作：夏目漱石「それから」「門」

日本名作ドラマ。監督：大山勝美。

安井と野中は無二の親友だった。しかし野中が

安井の妻・お米と通じたことから、二人は絶交。

野中とお米は安井の影におびえ、罪の意識に苦

しみながら生きてゆく‥‥。

――この作品では、安井が、野中とお米が通じ

るように仕向けたように描かれているが、だと

すると安井に罪はないのか、また安井の意図は

どこにあったのか？‥‥ここには早坂先生独自

の解釈があるかもしれない。（早坂先生は禅寺

の関係者を自殺させているが、原作を確かめる

とそんな話はなかった。）原作とドラマを慎重

に比較対照する作業が必要だろう。漱石に詳し

い方にも感想を聞いてみたい。

主演：風間杜夫、有森也美、古長谷雅人。

放送ライブラリーで視聴できる。台本は川崎市

市民ミュージアムの倉庫で保管（準備中？）。

脚本は早坂先生と池端俊策。

涙たたえて微笑せよ

明治の息子・島田清次郎

土曜ドラマ。

1919(大正８)年、「地上」という小説でデビュー、

一躍文壇の寵児となった作家・島田清次郎。し

かし彼はいつも何かにおびえ、たびたび騒動を

起こし、やがて精神病院に収容されて死ぬ。

――実話をドラマにした作品。彼の性格が悲劇

をもたらしたのか、それとも？

父親そっくりだった彼の息子は1945年8月15日、

大日本帝国の滅亡を見届けた喜びの中、心臓発

作で死んだが、これも示唆するところ大である。

主演：本樹雅弘、清水美沙、いしだあゆみ。

第22回放送文化基金賞。DVDあり。台本は川崎

市市民ミュージアムが倉庫で保管（準備中？）。

今夜もテレビで眠れない

月曜ドラマスペシャル。

山田太一、市川森一との競作で、早坂先生は

第３話「猫坂の上の幽霊たち」を担当。

３話とも放送ライブラリーで視聴でできる。

刑事　蛇に横切られる

1995.7.1

2020.5.20

　（スカパー）

土曜ドラマ。

謎解きの面白さもさることながら、高倉健の魅

力もあって、刑事の職業人としての自負と悩み・

哀感が印象深く描かれている。

主演：高倉健、田中好子・

第35回日本テレビ技術賞（照明、録音）。

DVDあり。各地のNHK、放送ライブラリーで視

聴できる。台本は川崎市市民ミュージアムで保

管（準備中？）。

悲劇の預言者・海軍大佐　水野広徳の戦い

1995.7.1

終戦50周年特別番組。

ドキュメンタリー・ドラマ。水野広徳は太平洋

戦争で日本が敗北することを予測し、反戦のた

めにたたかった人物。

時よとまれ

19958.5

土曜ワイド劇場。監督：星田良子。

1977年の「田舎刑事　時間(とき)よとまれ」の

リメイク版。

脚本：竹山洋。主演：矢沢永吉、平幹二郎。

新　花へんろ　風の昭和日誌

1997.5.14

－6.18

佐藤幹夫

笠原友愛 

水曜シリーズドラマ。全６回。

富屋勧商場の人々を中心に、戦後の混乱の時期に

庶民がどう生きたかを描く。

1997.5.14  第１回「日本はどうなるんかナモシ」

   〃   5.21  第２回「これからはダンスぞナモシ」

   〃   5.28  第３回「ダンスパーティーの夜」

   〃   6.4    第４回「肉体の門ぞナモシ」

   〃   6.11  第５回「青春の門かナモシ？」

   〃   6.18  第６回「お遍路は歌ぞナモシ」

最終回で特に、富屋の長男の死後、その正妻と

妾が一緒に遍路でまわる姿が、平和を語って心

にしみた。

主演：桃井かおり

各地のNHKで視聴できる。DVDあり。台本は

川崎市市民ミュージアムが倉庫で保管（準備中？）

渥美清のああ、青春日記

1997.9.24

「ドラマ　1997年10月号」(映人社)に台本収録。

七人の刑事　最後の捜査線

1998.10.12

月曜ドラマスペシャル

（徳川風雲録　八代将軍吉宗　第２部）

2008.1.2

原作：柴田錬三郎、監督：藤岡浩二郎。

早坂先生は解説の脚本を担当？

（必殺仕事人　2010）

2010.7.10

監督：石原　興、脚本：森下直。

早坂先生は劇中ナレーションを担当。

刑事

2014.3.26

水曜ミステリー９。テレビ東京開局50周年特別

規格。原案：早坂暁、脚本：坂上かつえ他

監督：水谷俊之、主演：高橋克典、大地康雄

台本は川崎市市民ミュージアムが倉庫で保管

（準備中？）。

花へんろ　風の昭和日記　総集編

2018.7.18—8.1

花へんろ　風の昭和一気　第三章　総集編

2018.8.1

花へんろ特別編　春子の人形

脚本家・早坂暁がうつくしむ人

2018.8.4

2018.10.6

スペシャルドラマ。

原作：早坂暁、脚本：冨川元文。

早坂先生の実体験に基づいた、遺作と言うべき

作品。

商家の軒先に人形と一緒に捨てられていた女の

赤ちゃんは春子と名づけられ、良介（＝早坂暁）

の妹として育つ。兄にほのかな恋心を抱いてい

た春子は、兄の出征中、母から「お兄ちゃんと

血がつながっていないんだから、好きになって

いいんだよ」と言われて、驚きながらも喜んだ。

春子は兄に会うために出発、しかし広島で被爆

死してしまう。

――言葉にならない悲痛な体験を、早坂先生が

書こう書こうとしながら生前にはついに完成せ

ず、その死によって他の脚本家にゆだねた理由

がわかるような気がした。

愛する人の原爆死という不条理を、人はどのよ

うにして乗り超えることができるのだろうか。

物語のラストは仏教信仰による解決であるが、

演出が不足のように思われる。これが本当の解

決なのかということである。ただ誰がつくった

としても難しいだろう。また、春子が死んだの

ちの良助の女性関係も、もっとあっさり出すべ

きではなかったろうか。これがあるために純愛

のストーリーに傷がついたように思われ、残念

だった。

主演：坂東龍汰、芦田愛菜。DVDあり。